『糖質疲労』は、山田悟医師が提唱する「糖質疲労」の概念と、その対処法について具体的に解説した書籍です。
1. 糖質疲労とは?
山田医師は、「糖質疲労」という言葉で、糖質の過剰摂取が引き起こす身体的・精神的な不調を説明しています。糖質疲労は、次のような症状として現れることがあります:
- 食後の眠気やだるさ:血糖値の急上昇と急降下が原因。
- 食べ足りなさ:食後しばらくしてからの強い空腹感。
- 集中力の低下:血糖値の不安定さが脳のエネルギー供給に影響。
- 慢性的な疲労感:糖質過剰が体内で炎症を引き起こす可能性。
これらは、糖質(特に精製された炭水化物)の摂取が多い現代の食生活で多くの人が抱える問題だと指摘されています。
2. なぜ糖質過剰が問題なのか?
人間の体は、糖質をエネルギーとして利用しますが、過剰な糖質摂取は以下のような弊害をもたらします:
- 血糖値の急激な変動:インスリンの過剰分泌による低血糖状態が「疲労感」や「空腹感」を引き起こします。
- 脂肪蓄積の促進:余分な糖質は中性脂肪として体内に蓄積され、肥満や生活習慣病の原因に。
- 老化や炎症の促進:糖化(AGEs)の進行が細胞や血管を劣化させます。
山田医師は、これらが「疲れやすさ」や「病気のリスク」につながると警告しています。
3. 糖質疲労を防ぐ「ロカボ」とは?
山田医師が提唱する「ロカボ(Low Carbohydrate)」は、ゆるやかな糖質制限を指します。過剰な糖質制限ではなく、以下のポイントを守ることを推奨しています:
- 1食あたりの糖質量を20~40gに抑える:完全に糖質を排除するのではなく、適量を守る。
- おやつは10g以下にする:間食での糖質摂取量を意識する。
- 油やタンパク質をしっかり摂る:糖質を減らす分、満足感を得るために脂質やタンパク質を十分に摂取する。
具体的には、「ごはんの量を少し減らし、おかずを増やす」などのシンプルな方法を推奨しています。
4. 実践的な食事アドバイス
書籍では、具体的なメニュー例や食品選びのポイントが紹介されています。以下はその一部です:
- 朝食:卵やチーズ、ヨーグルトなど、タンパク質中心のメニュー。
- 昼食:主食を減らし、肉や魚をメインに。
- 夕食:野菜を多く取り入れ、主食は控えめに。
- おやつ:ナッツやチーズを推奨。砂糖を多く含むスナック菓子は避ける。
また、加工食品や清涼飲料水に含まれる「隠れた糖質」にも注意を促しています。
5. 科学的根拠と実践の効果
山田医師は、糖質制限の効果について数々の研究結果を基に説明しています:
- 糖質制限が2型糖尿病の血糖コントロールを改善すること。
- 肥満解消や血圧の低下に寄与すること。
- 老化を抑える可能性があること。
また、患者への臨床経験をもとに、「糖質疲労」が軽減される様子を具体的な事例として紹介しています。
6. 糖質疲労を防ぐ生活習慣のヒント
書籍には、食事以外の生活習慣についても触れられています:
- 適度な運動:筋肉量を増やすことで糖質を効率的に利用。
- 十分な睡眠:血糖値の安定に寄与。
- ストレス管理:ストレスが血糖値を乱すため、心身のケアが重要。
7. 誰でも始められる「ゆる糖質制限」
山田医師は、「糖質を完全に断つ必要はない」と強調しています。日々の生活に取り入れやすい「ゆる糖質制限」こそが、持続可能な健康法であり、習慣化しやすいとしています。
本書のまとめ
- 糖質疲労は、現代人が抱える隠れた健康問題である。
- ゆるやかな糖質制限「ロカボ」を取り入れることで、糖質疲労を予防・改善できる。
- 無理のない範囲で、主食を減らし、タンパク質や脂質をバランスよく摂る。
- 科学的根拠と具体例を通じて、読者が実践しやすい内容となっている。
『糖質疲労』は、単なるダイエット本ではなく、食生活を見直し、長期的な健康を実現するためのガイドとなる一冊です。
『糖質疲労』山田悟(著)
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