三叉神経痛(さんさしんけいつう)とは?
三叉神経痛は、顔の神経(三叉神経)が過剰に興奮し、激しい電撃痛を引き起こす疾患です。顔の片側に突発的な痛みが走り、食事・会話・洗顔などの動作で痛みが誘発されることが多いです。
1. 三叉神経痛の原因
三叉神経痛の原因は大きく2種類に分かれます。
① 原発性(三叉神経圧迫型)(最も多い)
- 脳内の動脈(上小脳動脈など)が三叉神経を圧迫し、神経が過敏になって痛みを引き起こす。
- 多くは50歳以上で発症し、特に女性に多い。
② 二次性(三叉神経障害型)
他の病気が原因で神経が損傷・圧迫されるケース。
- 脳腫瘍(神経鞘腫、髄膜腫)
- 多発性硬化症(MS)(髄鞘が破壊される)
- 外傷後(顔面の手術や事故)
- 帯状疱疹ウイルス(帯状疱疹後神経痛)
2. 三叉神経痛の発生機序(メカニズム)
- 神経の圧迫・損傷
- 動脈が三叉神経に接触し、持続的に圧迫する。
- 髄鞘(神経を覆う絶縁体)が傷つき、神経が過敏になる。
- 異常な神経興奮が発生
- 本来なら無害な刺激(洗顔、歯磨き)が異常な痛み信号に変換される。
- 電撃のような痛みが発作的に起こる。
3. 予防対策
根本的な予防は難しいが、発作を防ぐための工夫は可能。
① トリガーを避ける(痛みを引き起こす刺激)
- 冷風・寒冷刺激を避ける(マスク・マフラーを活用)
- 硬い食べ物を避ける(噛む刺激を減らす)
- ストレス管理(ストレスが痛みを悪化させる)
② 生活習慣を改善(神経の過敏性を抑える)
- ビタミンB群を摂取(神経の修復を助ける)
- 多く含まれる食品:豚肉、卵、大豆、玄米
- 適度な運動(血流を改善し、神経の圧迫を軽減)
- 入浴・温熱療法(顔を温めると神経の興奮を抑えられる)
4. 有効な薬(西洋医学的アプローチ)
三叉神経痛の治療薬は、通常の鎮痛薬では効果がないため、神経の興奮を抑える薬が使われます。
① 抗てんかん薬(第一選択薬)
薬剤名 | 効果 | 副作用 |
---|---|---|
カルバマゼピン(テグレトール) | 神経の異常な興奮を抑える(70~80%に有効) | 眠気、ふらつき、肝機能障害 |
オキシカルバゼピン(トリレプタール) | カルバマゼピンより副作用が少ない | 低ナトリウム血症、めまい |
ガバペンチン(ガバペン) | 神経の痛みを和らげる | めまい、体重増加 |
プレガバリン(リリカ) | 神経障害性疼痛に有効 | 眠気、むくみ |
② 三環系抗うつ薬(補助的に使用)
薬剤名 | 効果 |
---|---|
アミトリプチリン | 痛みの閾値を上げる |
ノルトリプチリン | 神経痛の緩和 |
③ ボツリヌス毒素注射
- 神経の異常な興奮を抑える
- 痛みの軽減効果が3~6ヶ月持続
5. 有効な治療法(特に鍼灸)
① 鍼灸の基本的な考え方
東洋医学では、三叉神経痛は「気血の滞り(瘀血)」や「寒邪(冷え)」が関与していると考えます。気の流れを改善し、痛みを和らげることを目的に治療を行います。
② 三叉神経痛に効果的なツボ
ツボ | 位置 | 効果 |
---|---|---|
迎香(げいこう) | 小鼻の横 | 顔面の血流改善 |
四白(しはく) | 目の下、頬骨の上 | 顔の痛みを緩和 |
太陽(たいよう) | こめかみ | こめかみの痛みを軽減 |
合谷(ごうこく) | 手の親指と人差し指の間 | 顔面痛の調整 |
風池(ふうち) | 首の後ろのくぼみ | 自律神経を整え、痛みを緩和 |
③ 鍼灸治療の具体的な方法
- 顔・頭部の鍼:迎香・四白・太陽などのツボに刺激を加え、血流を改善
- 遠隔治療(手足のツボ):「合谷」や「風池」を刺激して痛みの閾値を上げる
- 温灸治療:痛みが強い場合、艾(もぐさ)を使った温熱療法で血流を促進
④ 鍼灸の効果
✅ 即効性あり(発作時の痛みが軽減されることも)
✅ 血流改善・神経の興奮を抑える
✅ 長期的に体質を改善し、再発防止
6. その他の治療法(手術・神経ブロック)
① 微小血管減圧術(MVD)(最も根本的な治療)
- 圧迫している血管を脳外科手術で移動させる
- 成功率90%以上、再発率低い
② ガンマナイフ(放射線治療)
- 神経にピンポイントで放射線を当てる
- 手術が難しい高齢者向け
③ 神経ブロック注射
- 三叉神経節に局所麻酔を注入
- 一時的な痛みの緩和に有効
まとめ
✅ 原因:血管の圧迫が主な要因
✅ 予防:冷え対策、ビタミンB摂取、ストレス管理
✅ 有効な薬:カルバマゼピン、ガバペンチン、ボツリヌス毒素注射
✅ 鍼灸治療:迎香・合谷・風池のツボ刺激が有効
✅ 手術治療:微小血管減圧術が最も効果的
痛みが強い場合は、薬と鍼灸を併用するとより効果的です!
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