細谷功著『具体と抽象』は、物事を「具体的」に捉える思考と「抽象的」に捉える思考を理解し、それを使い分けることで、問題解決やアイデアの創出を効率的に行えるようにするための指南書です。この本は、日常生活や仕事での「思考のレベル」を自由に行き来する重要性を説きます。
具体と抽象の基本概念
- 具体的思考
特定の事例や個別の事象に注目する思考。
例: 「この木には赤い葉がある。」 - 抽象的思考
共通点を抽出し、全体像や概念を理解する思考。
例: 「木とは光合成を行う植物の総称。」
図解(上記イラスト): 左側が具体的思考(リアルな物体)、右側が抽象的思考(シンプルなシンボル)で表現されています。
具体と抽象の往復
- 具体化
抽象的な概念を具体的な事例に落とし込む。
例: 「幸福とは何か?」を具体的な瞬間(例: 美味しい食事を楽しむ時)に変換。 - 抽象化
具体的な事象を整理し、共通の特徴や本質を見つける。
例: 「美味しい食事」や「友人との時間」の共通点として「心の満足」を抽象化。
ポイント:
具体と抽象を行き来することで、個別の問題を理解しやすくし、応用可能な普遍的な解決策を得る。
日常や仕事への応用
1. 問題解決
- 具体: 問題を分解し、何が起こっているかを明確にする。
- 抽象: 根本的な原因やパターンを見つける。
例: 売上が下がった場合
- 具体: 商品Aの販売が減少。
- 抽象: 顧客ニーズの変化が原因。
2. コミュニケーション
- 具体: 相手にわかりやすい例を挙げる。
- 抽象: 目的や背景を共有することで、共通理解を深める。
具体と抽象のバランス
- 具体過多のリスク
細かすぎて全体像が見えない。
例: 無数のデータに埋もれて全体の傾向を見失う。 - 抽象過多のリスク
実践に落とし込めない理論倒れになる。
例: 理念は立派でも、具体的な行動が示されていない。
結論
- 具体と抽象はどちらも重要であり、その「行き来」を意識することで柔軟な思考が可能になる。
- このスキルは仕事、日常、創造的な場面など、あらゆる場面で役立つ。
本書の核心: 具体と抽象のバランスを理解し、自在に切り替えることが、思考を深め、課題解決能力を高める鍵となる。
細谷功著『具体と抽象』
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