メニエール病(Ménière’s disease)は、内耳の疾患であり、主に以下の3つの特徴的な症状を引き起こします:
- 回転性めまい(激しい目が回るような感覚)
- 難聴(低音域から始まることが多い)
- 耳鳴りや耳閉感(耳が詰まった感じ)
以下に、さらに詳しい情報を解説します。
原因
メニエール病の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、内耳のリンパ液(内リンパ液)の異常な蓄積が主因と考えられています。この状態は「内リンパ水腫」と呼ばれ、次のような原因が関与するとされています:
- 体液バランスの異常
ナトリウム濃度の不均衡や内耳のリンパ液の排出障害。 - 免疫異常
自己免疫疾患が関与している可能性。 - 遺伝的要因
家族歴がある場合も。 - ストレスや生活習慣
睡眠不足、過労、過剰な塩分摂取が引き金になることも。
症状
- 回転性めまい
- 数分から数時間続く。
- 発作中は歩行が困難になり、吐き気や嘔吐を伴うことも多い。
- 難聴
- 初期段階では低音域が聞こえにくくなることが多い。
- 進行すると、高音域も影響を受ける可能性がある。
- 病気の進行によって感音難聴が固定化することがある。
- 耳鳴り
- ブーンやザーッという低音が特徴的。
- 耳閉感
- 耳が詰まったような感覚。
診断
メニエール病の診断には、以下の基準が一般的に用いられます(例:日本耳鼻咽喉科学会の診断基準):
- 反復性のめまい発作
- 発作が20分から12時間以内に収まること。
- 聴力低下
- 特に低音域での一過性の感音難聴。
- 耳鳴りまたは耳閉感
- 発作時に感じられる。
- 他の原因疾患が除外されていること
- 頭部MRIなどで脳腫瘍や中枢神経系の病気を除外。
治療法
1. 薬物療法
- 利尿薬
内リンパ液の過剰を軽減するため、塩分排出を促す。 - 抗めまい薬
ベタヒスチン(メリスロンなど)や抗ヒスタミン薬。 - 鎮静剤・抗不安薬
発作時の不安やストレス軽減。 - ステロイド薬
免疫異常が関与している場合に使用されることがある。
2. 生活指導
- 食事管理
塩分制限(1日3~6g未満)やカフェイン・アルコールの制限。 - ストレス管理
適度な運動、リラクゼーション法。 - 十分な睡眠と休養
睡眠不足が症状を悪化させる可能性があるため重要。
3. 手術療法
重症例や薬物療法が効果を示さない場合に行われます。
- 内リンパ嚢手術
内リンパ液の排出を促進する手術。 - 前庭神経切断術
めまいを引き起こす神経を切断する方法。 - 内耳破壊術
難聴が進行している場合に、内耳全体を破壊してめまいを抑える。
予後
メニエール病は進行性の疾患ですが、適切な治療と生活管理によって症状をコントロールできるケースが多いです。ただし、一部の患者では難聴が進行して聴力が大幅に低下することがあります。
注意点
- 発作時は無理に動かず、安静にすることが重要。
- 初期症状を軽視せず、早期に専門医(耳鼻咽喉科)を受診してください。
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