前田一義著『歯を磨いても むし歯は防げない』は、従来の「歯磨き至上主義」に疑問を投げかけ、むし歯予防における食生活の重要性を説く一冊です。以下に、本書の要点を分かりやすく解説します。
従来の歯磨き信仰への疑問
- 多くの人が「毎日歯を磨けばむし歯を防げる」と信じていますが、実際にはそうではありません。
- 歯磨きは、歯垢(プラーク)を取り除くことでむし歯のリスクを減らす効果がありますが、それだけでは不十分です。
- むし歯は、歯の質、細菌、そして食生活という3つの要素が複雑に絡み合って発生します。
食生活の重要性
- 本書では、特に食生活、その中でも糖質の摂取がむし歯に大きく影響することを強調しています。
- 砂糖や炭水化物を過剰に摂取すると、口腔内の細菌が酸を生成し、歯のエナメル質を溶かします。
- 特に重要なのは、砂糖の摂取頻度です。間食などで頻繁に糖質を摂取すると、口腔内が常に酸性に傾き、むし歯のリスクが高まります。
- 一方、スウェーデンのように、砂糖の消費量が多くてもむし歯が少ない国もあります。その違いは、食生活の質や習慣にあります。
スウェーデン式オーラルケア
- スウェーデンでは、食生活の改善、フッ素の活用、そして定期的な歯科検診を組み合わせた予防プログラムが普及しています。
- 特に、キシリトールなどの代用甘味料の活用や、食後のフッ素入り歯磨き粉の使用が推奨されています。
- また、定期的な歯科検診でリスクを早期に発見し、適切な処置を行うことが重要です。
日本人の口腔ケアの問題点
- 日本では、歯磨きに偏重し、食生活への意識が低い傾向があります。
- また、フッ素の活用や定期的な歯科検診も、スウェーデンに比べて普及していません。
- 本書では、日本人がこれらの点を改善することで、むし歯のリスクを大幅に減らせる可能性を示唆しています。
むし歯予防のための具体的な対策
- 食生活の改善:砂糖や炭水化物の摂取を控え、バランスの取れた食事を心がける。
- フッ素の活用:フッ素入り歯磨き粉やフッ化物洗口液を使用する。
- 定期的な歯科検診:歯科医院で定期的に検診を受け、専門家のアドバイスを受ける。
- キシリトールの活用:食後にキシリトールガムなどを噛むことで、口腔内環境を改善する。
まとめ
『歯を磨いても むし歯は防げない』は、むし歯予防において、食生活の重要性を改めて認識させてくれる一冊です。従来の歯磨き信仰から脱却し、食生活の改善やフッ素の活用など、総合的な対策を講じることで、むし歯のリスクを大幅に減らせることを教えてくれます。
『歯を磨いても むし歯は防げない』前田一義(著)
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