Q1,鍼は痛くないですか?
鍼灸で用います鍼は非常に細く毛髪ぐらいの太さです。
鍼先も注射の針とまったく別の形状をしております。
注射針は先が尖っていて皮膚を切り裂き刺入しますが、鍼灸の鍼は鍼先が丸く組織と組織の間を掻き分け刺入されます。
ですから注射の様な刺痛はありません。
ただ、鍼特有の『ひびき』や『得気』と言われる感覚が発生します。
指圧やマッサージをされたことがある人でしたら圧されて「痛気持ちイイ」「重ダルイ」などのコリが内部から分解され溶けていくような感覚をご経験かと思いますが、あれの「鍼バージョン」とお考え下さい。
どちらも筋肉の反応によってもたらされる感覚なのですが
皮膚の上から皮下組織(脂肪等)越しに筋肉を刺激する指圧・マッサージに比べ、直接、筋肉を刺激出来る鍼の方が反応が大きくなります。
※古来、東洋医学ではこの感覚を『得気』と呼び
「気が至り病を治している」感覚とし治療上とても重視されていました。
※過度に怖がりの方はご遠慮下さい。
Q2,コリ(筋硬結)はなぜ出来るの?
この仕事をしていますとほんとうに様々なコリと出会います。
板の様になっていたり、棒の様になっていたり、あるいは奥の方に球が入ってるように感じたり・・・
コリは筋肉が硬くなった状態なので筋肉の形状により様々なコリが発生します。
身体は筋肉が伸び縮みすることにより関節を動かし力を出し、そして動いております。
しかし、じっとして動いていない時でも筋肉は使っています。それは姿勢を維持する為の筋肉です,体を支える為に特定の筋肉が縮みっぱなしになり身体を固定しています。
実はコリの原因としてはこちらの筋肉のコリの方が厄介だったりします。
これらの筋肉を繰り返し使う(収縮、伸張を繰り返す)と疲労し収縮したまま戻りにくくなります。要するに筋肉が圧縮されたような感じになりますので外部から触ると「硬く」感じます。
仕事や姿勢により負担ののかかる筋肉はいろいろですので、コリの形状や深さもいろいろ変わってきます。
「マッサージをしてもその時だけですぐに戻ってしまう・・・」
という方は深部にコリが残ってます。
当院ではまず鍼治療にて深部のコリを緩め、コリの土台を無くしてから手技にて表面からアプローチさせて頂きます。‘鍼だけ’‘マッサージだけ’より断然効果的です。
Q3,鍼灸でエイズや肝炎など感染しますか?
当院ではすべて使い捨ての鍼、鍼管、鍼皿を使用していますので感染の心配はありません。
またエイズなどの多くのウィルスは空気中では死滅しますので
鍼を媒介してウィルスが感染することはありません。
Q4,鍼をするとどのような効果が現われますか?
鍼治療の効果には主なものとして筋硬結の除去と自律神経のバランスの回復があります。
筋硬結の除去は、まず身体に出来た筋硬結(いわゆるコリ)を探し、そしてその箇所とその筋肉に関連するツボなどに鍼を刺していきます。
身体は鍼などの異物が入ってきますと一旦筋肉を収縮させそれ以上の異物の侵入を防ごうといたします。
(この時Q1で説明しました「ひびき」が起こります)
そして鍼を刺したままの状態でしばらく置いておくと今度はその入ってしまった異物を外へ出すべく筋肉が弛緩していきます。この時はじめにあった筋硬結も一緒にも緩んでいきます。
鍼治療後には「瞑眩(めいげん)反応」と呼ばれる少し倦怠感を伴った反応が現れることがあります。
これは筋緊張やコリによりせき止められていた血液循環が戻りだし、身体に蓄積されていた老廃物が流され始めた時に起こる“だるさ”であります。また血液循環が戻ることにより自律神経のバランスが整い免疫機能が活発に発動しだした反応でもあります。
鍼治療をいたしますと全ての人が本来持っている自然治癒力が活性化されますので、術後は自分で自分の身体を修復し出します。
ですからこの倦怠感は心配いりません。
そしてこれは身体自体が発する「ゆっくり休みなさい」というサインでもありますので術後はゆっくり休まれることをお勧めします。
Q5,鍼で症状が悪化することはありますか?
Q4では瞑眩反応について述べましたが
慢性的なひどいコリがある場合では筋肉が強く神経を締め付けますので知覚が低下し感覚が鈍くなっている場合があります。
その場合、鍼により筋肉が緩むと神経への圧迫も軽減され知覚が復活し、一時的に痛みを自覚し出す事があります。
こうなると筋肉が弛緩し出したという事なのでどんどん回復へ向かっていきます。
Q6,ツボとコリは関係あるのですか?
人体には数多くのツボ(経穴)がありますが、それらの箇所はきちんと定められております。
そして、コリや痛みなどの症状が出る箇所というのは必ずしも経穴の箇所と一致するわけではありません。
古来、東洋医学ではその様な症状が現われる箇所を反応点とし、場所を定めず「阿是穴(あぜけつ)」と呼ばれておりました。。
日本語に訳すと「阿(あ) 是(これ) 穴(つぼ))」となります。
なんとなく安っぽい気もしますが臨床上とても重視されていました。
現在ではこの「阿是穴」は「圧痛点」や「トリガーポイント(引き金点)」などかっこ良くネーミングされたりしています。
Q7、肩こりで不眠症になりますか?
非常に多く見受けられます。
人は筋肉を固くし力を入れたままで眠ることは出来ません。
たとえば手を握っままの状態では眠れませんので自然に手の力を抜こうとします。
肩こりや背中のコリがあっても無意識に力を抜こうと(筋肉をほぐそうと)いたします。
仰向けの場合だとコリが苦しいのでコロコロと寝返りと繰り返します。この寝返りは眠っていても無意識にしますので眠りが浅くなってしまい朝起きてもイマイチすっきり感が得られません。
また肩から背中にかけての広い範囲にコリがありますとその下にあります胸郭(肋骨で覆われてる部分)が広がりにくくなります。
胸郭の中には呼吸器官である肺がありますので胸郭が広がらないと肺も大きく膨らまず深い呼吸がしにくくなります。
しっかりとした深い呼吸が出来ないとリラックスしづらくなりぐっすり眠りにくくなります。
これらの症状の場合、頚から肩、肩甲骨まわりの筋肉をほぐしてあげると深くしっかりとした呼吸を取り戻すことが出来、仰向けの苦痛も和らぎぐっすり眠れるようになると思われます。
また、肩こりが背中まで広がり自律神経に作用し、不眠の原因になることも多々あります
Q8、鍼のあとすぐにお風呂に入ってもいいですか?
最低1時間はあけて下さい。
施術直後は筋肉がゆるみ血液循環が良くなっております。
血液循環が良くなることにより身体のすみずみまで新鮮な酸素とエネルギーを運び、さらに各所に溜まっている疲労物質や老廃物・発通物質を運び去ります。
ですから術後の1時間ぐらいは横になられる事をお勧めします。。
出来ればお風呂は一日の一番最最後、就寝間際がベストです。
アルコールは一日我慢してください。
鍼の後のアルコールはものすごく回りが速いのであまりよくありません。
あと激しい運動も一日控えて下さい。
※ただし、ギックリ腰などの急性の疾患の場合はお風呂は控えて下さい。
Q9、どのような服装がよいですか?
出来るだけ肩や腰、手足が出しやすいゆったりとした服装やタンクトップ等がよいです。
無ければ患者着もありますので、その際は遠慮なくお申し付け下さい。
Q10、どれぐらい通院すればいいですか?
症状の軽い方急性疾患で1~3回、症状の重い方で5~10回が目安とお考え下さい。
慢性的な疾患や複合的な疾患(顎関節症による肩コリetc)などは経過を診ながら治療させていただきますので、はっきりした回数をお伝えできない場合もあります。
重症の方でも一回の施術でしっかりと効果を実感していただけると思います。
施術のペースにつきましては、当院の施術はやや刺激が強めですので即効性もあるのですが、筋肉が緩むことにより血流が改善され免疫系・代謝系が非常に活性化され、施術後2~3日かけ身体を修復させていき徐々に症状が緩解していきます。
軽症の方ですとそのまま症状は消失して行きます、重症度の高い方、慢性化した方は症状が縮小したり隠れていた症状が顕在化したり症状や痛み方が変化していきます。
急性で痛みの強い方は極力日を開けず、症状が元に戻る前の1週間以内。慢性化されてる方は症状がしっかり軽減するまで週2~3回、戻りをなくす為に一週間~10日に一度ぐらいのペースで来ていただけると改善しやすいです。
また鍼灸には身体の養生・病気の予防にも非常に効果があります。
健康な身体の維持する為にも、定期的な通院をお勧めします。
Q11、中医学とはどのようなものですか?
中医学の基盤になっている思想に陰陽五行論があります。
これは世界は物質から出来ており、霊魂を含めた森羅万象が物質の変化によって生まれ発生するという考え方で、無神論の一種であります。
宇宙の森羅万象は絶対的ではなく 、流動しながら進展すると考えられ、 そこには大きな意思である神は介在しないとされます。
臓腑や組織間、そして人体と外界環境には対立と統一があります。
それらは絶えず対立を作り出し、その対立を解決し続けることによって相対的な動態平衡が維持され、生理機能が正常に保たれます。
こうした動態平衡が何らか原因によって破壊され、 すぐに自分で調整しても回復出来なければ発病すると中医学では考えています。
そして、崩れてしまった動態平衡を針や薬、あるいは日常の養生などによって戻そうとするのが中医学です。
Q12、冷やすの?温めるの??
これも非常によく尋ねられる質問です。
簡単に目的を説明いたしますと
冷やす=痛み止め
温める=治療
とお考え下さい。
捻挫や打撲などで発症直後で激しい痛みの場合、炎症反応が強く起こっていますので、それを抑える為に冷やします。
※炎症反応は身体の修復作業です。
ピークの痛みが収まった後(ギックリ腰なら3日ぐらい)、或いは慢性痛には、身体の修復を促す為に温めていきます。
湿布についてもよく尋ねられますが、ほとんどの湿布に鎮痛剤が入っています。
これは血流を抑えることにより痛みを抑えるものです。
‘冷やす’のと同じで鎮痛が目的で治療するものでは無いとお考え下さい。
湿布を貼り続けている方は、だいたい血流障害により局所が変色しておられます。
症状の慢性化の原因になることも多いので、貼られるなら短時間(4時間以内)で短期間をオススメいたします。
また就寝時も身体の回復・修繕を優先する為にも貼らない方が良いです。