医食同源Ⅱ

漢方の治療はすべて「陰」と「陽」に分けて考え陰でも陽でもない状態「間性(中庸)」の状態にもっていくといことに重点を置いています。
その為に重視しているのが食べ物と食べ方です。
食べ物は私たちの身体を作る源で、何をどの様に食べるかで健康にも大きく影響していきます。
ことに、「陰」には「陽」を組み合わせるという考え方があり、「体質に合った食べ物をとる」ことが、健康維持や病気回復に非常に大切とされています。

おおまかに「陽性体質」と「陰性体質」を分けますと陽性はいつも体が温かく、暑がりで元気旺盛、筋肉が発達しています。
陰性は寒がりで冷え性、体力もなく、筋肉も少ない。
色白で痩せているか、水分・脂肪でぽっちゃりしています。

では「陽性食品」と「陰性食品」は、どのように見分ければよいのでしょうか?

①色
黒・赤・だいだいなどの暖色系の食べ物は「陽性」
青・緑・白などの寒色系の食べ物は「陰性」というのが
見分け方の基本です。
肉や魚はほとんど赤い色をしていますから陽性食品
色黒の多い根菜類は陽性、色白の多いキュウリ、もやし、レタスなどは陰性食品。とくに、牛乳、豆腐、パン、白砂糖、マヨネーズといった白い食材はほとんどが陰性食品です。ただし水分を追い出す作用のあるは塩は別です。

②しまっているか、いないか
水分が少なく「しまっている」ものは陽性
水分が多く「しまっていない」ものは陰性ということも
見分けるポイントです。
そばやスパゲッティは硬くてしまっていますから陽性
柔らかく水分の多いうどんは陰性ということになります。
水分の多い牛乳は牛乳のままだと陰性ですが、水分を取り除き硬い状態になったチーズだと陽性食品になります。

③産地はどこか?
熱帯地方の人達は、体から熱を取り去る食べ物、つまり体を冷やす食べ物が必要となります。反対に寒い地方の人達には体を温める食べ物が欠かせません。
ですから熱帯地方で採れる食材には体を冷やす陰性の食材が多く、寒い地方で採れる食材には体を温める陽性の食材が多くなります。
バナナやマンゴ、パイナップルなどの南国産の果物、南米原産のトマトやインド原産のキュウリ、熱い国に欠かせない香辛料(発汗作用により体温を下げる)やコーヒー、カレーなどスパイスの効いた食べ物は陰性食品ということになります。

④塩の効いたものは陽性食品
体を温める作用に優れた食品の筆頭にあげられるのが「塩」です。
梅干し、みそ、しょうゆ、佃煮、めんたい、干物、漬物など塩分の多い食品はすべて陽性食品になります。
日本でも東北地方などの寒い地域では塩分の高い食品をとりますね。塩分には血圧を高める作用がありますから、東北地方の人は塩気の多い食べ物をとることで血圧を上げ体を温めているわけです。
また水分の多い野菜に塩を振るとしんなりするように、塩には水分を追い出す力があります。
最近は塩分の摂り過ぎばかりが取り上げられ減塩の必要性が説かれています。たしかに過ぎれば高血圧や脳卒中を引き起こしますが、だからといって極端に減塩すれば「冷え」を防ぐことは出来ません。
すべては「過ぎたるは・・」なので、適度に塩分を摂ることも体を温める上では必要なことです。

さて、じつは陽性食品と陰性食品のふたつの他に、陽にも陰にも属さない「間性食品」とうのがあります。
色でいえば薄い黄色や茶色をしたものがこれにあたります。
玄米、黒パン、アワ、キビ、ヒエ、小豆、大豆、イモ類、とうものこしなどがそうですが、お気づきのように間性食品にはいわゆる「主食」として食べられているものが多いです。
「主食」ですから毎日の食事には間性食品をぜひとり入れたいものです。
「間性食品+陽性食品」というメニューを工夫してみましょう。

また「冷え性だがバナナやきゅうりが大好き、コーヒーはやめられない」という方もいらっしゃるでしょう。
そういう方には陰性食品を陽性食品に変えるワザがあります。
そのワザとは
・熱を加える(炒める、煮る)
・塩を加える(漬物にする、塩を振って食べる)
コーヒーも温め効果の高いシナモンを加えて飲めば冷やし作用が少しは緩和されます。

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