マイコプラズマ(Mycoplasma)は、非常に小さな細菌の一種で、特定の病気の原因になることがあります。その特徴と関連する情報について詳しく解説します。
基本的な特徴
- 細胞壁を持たない
- マイコプラズマは細胞壁を持たないため、ペニシリンやセファロスポリンなどの細胞壁合成を阻害する抗生物質が効きません。この特徴は、他の細菌と区別される重要な点です。
- 非常に小さい
- サイズは約0.1~0.3マイクロメートルと、通常の細菌よりも小さく、ウイルスと同程度の大きさです。
- 多形性
- 細胞壁がないため、一定の形状を持たず、多様な形状(球形や糸状など)を取ることができます。
- 寄生性
- 自身では多くの栄養素を合成できないため、宿主の細胞内または細胞表面で生存します。
マイコプラズマ感染症
マイコプラズマはさまざまな病気を引き起こしますが、代表的なものは以下の通りです。
1. マイコプラズマ肺炎
- 原因菌: Mycoplasma pneumoniae
- 症状:
- 発熱
- 咳(乾いた咳が特徴)
- 倦怠感や喉の痛み
- 特に子どもや若年層で多く見られ、「異型肺炎」の一種に分類されます。
- 治療: マクロライド系(エリスロマイシン、クラリスロマイシン)、テトラサイクリン系(ドキシサイクリン)、ニューキノロン系の抗菌薬が使用されます。
2. 尿路・生殖器感染症
- 原因菌: Mycoplasma genitalium, Mycoplasma hominis
- 症状:
- 男性では尿道炎、女性では骨盤内炎症性疾患(PID)の原因となることがあります。
- 治療: アジスロマイシンやモキシフロキサシンが効果的。
3. 関節炎や全身性疾患
- Mycoplasma hominisやその他の種が、免疫抑制状態の患者で関節炎や敗血症を引き起こすことがあります。
感染経路
- 飛沫感染: 咳やくしゃみを通じて感染することが多いです(特に呼吸器感染症)。
- 接触感染: 性的接触を通じて生殖器に感染する場合があります。
診断
- 血清検査
- 抗体価の測定(特にIgM抗体の上昇)。
- PCR検査
- 遺伝子検出による迅速で正確な診断。
- 培養
- 特殊な培地が必要で、時間がかかります。
予防
- 手洗いや咳エチケットの徹底。
- 感染者との密接な接触を避けることが推奨されます。
- 生殖器感染症の場合、コンドームの使用が有効です。
マイコプラズマに関する注意点
- 抗生物質の耐性: 最近では、マイコプラズマ肺炎を引き起こす菌がマクロライド系抗菌薬に耐性を持つケースが増加しています。適切な治療薬の選択が重要です。
- 感染力: マイコプラズマ肺炎は流行することがあり、学校や職場など集団生活の場で注意が必要です。
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