漢方薬はジワジワゆっくり効くというイメージが強いですが必ずしもそうではありません。
漢方にはその病人の症状や体の状態を診て判断する「証」と呼ばれる診断法があります。この証が正しくたてられれば驚くほど即効性を現すこともあります。
この証にはさまざまなものがありまして、たとえば体力で分類した証には
虚証(体力がない状態)実証(体力がある状態)
病因や体質的素因に関係した証には
血証(血がよどんでいる状態)水毒証(体の中の水はけに異常がある状態)などほかにもさまざまな証があります。
そしてその証に合わせて薬が処方されますので処方が必ずしも病名と一致するわけではありません。
たとえ病名や症状が同じでも証が違えば処方される薬も違ってきます。
また漢方には毒性(副作用)がないと思われてる方もおられますが
それも適当ではありません。
中国では「毒を持って、毒を制す」の言葉のように漢方薬という毒薬をもって病毒や疫毒を抑えるという考え方をいたします。
ですから中国の古典『素問』には「大毒で治療する時は六割治ったら止める、常毒の治療は七割治ったら止める、小毒の治療では八割治ったら止める、無毒の治療は九割治ったら止める」とあり、“完治するほどに薬を使うな”と諌めています。
ある程度症状が軽減すれば食事療法に切り替えるのが良い治療と考えられていたようです。
そして漢方薬は寒には熱、熱には寒と反対作用の薬物を処方しバランスを回復させますので服用期間が長すぎると反対方向へバランスを崩すことがあります。
鍼灸の場合は最初から双方向性がありますので崩れたバランスを整えてくれます。ですから薬より副作用がない利点があります。
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